飛島建設 トグル制震補強構法の地震時の挙動を再現した動的加振実験の実施
2012-01-24
トグル制震補強構法の地震時の挙動を再現した動的加振実験の実施(2012年1月24日)トグル制震補強構法の地震時の挙動を再現した動的加振実験の実施
-集合住宅を主とした架構増設型補強構法の補強効果の検証- 飛島建設株式会社(社長:伊藤寛治)は、大阪大学倉本教授の技術指導のもと、同社の保有する制震技術である「トグル制震装置(以下、トグル)」の動的加振実験を行い、架構増設型のトグルの地震時の有効性を確認しました。実験は、事例のほとんどない約1/2スケールという大きな規模で、地震時の挙動をより詳しく把握できる動的加振により行いました。
架構増設型の補強構法は、一般的に耐震補強が困難とされている建物(例えば集合住宅)の外付け制震補強を想定して、既存建物とトグルを設置した補強架構を水平コンクリート版で連結した補強形式としています。
架構増設型補強構法の有効性については、要素実験(トグル、アンカー、スラブなど)や解析的な検証では有効に作用することを検証してきましたが、このような規模・加振方法で行われた実験はこれまでほとんど例がなく、このような実挙動を忠実に再現した実験においても、トグル制震構法の有効性が証明されました。集合住宅など耐震補強が必要な建物をお持ちのお客様への、安全・安心のご提案に活用していきたいと存じます。
架構増設型トグル制震補強工法とは 集合住宅のように建物にバルコニーや廊下があると、耐震補強を行う時に、既存建物の柱や梁に補強部材を直接接合することができないケースがあります。架構増設型トグル制震補強は、バルコニー、廊下の外側に補強架構を設置できる構法です。バルコニー、廊下を撤去する必要がなく、また外側での工事が主体になるため居住しながらの施工が可能です。
図1に架構増設型トグル制震構法による補強例を示します。トグル制震装置を組み込んだ補強架構を、廊下に干渉しない外側の位置に設置し、既存梁と補強梁を増設スラブで繋ぐことで建物との一体化を図っています。通常、補強架構の柱は鉄骨造、梁は鉄骨又は鉄骨鉄筋コンクリート造とし、既存建物と補強架構とを22cm~30cmの厚さの鉄筋コンクリート増設スラブにより接続します。
図2にトグル制震装置の摸式図を示します。ここで使用するトグル制震装置とは、“てこ”の増幅作用を応用したトグル機構により、地震時に生じる層間変形(図2(A)部)を2~3倍に増幅してダンパーに伝え(図2(B)部)、効率よく地震のエネルギーを吸収することができる制震装置です。
動的加振実験による検証方法 (1)実験概要 図3に試験体の摸式図を、図4に加振方法を示します。既存建物の梁部分に強制的に地震の揺れに相当する水平変位を与え、その時の補強架構の変位挙動、力の発現状況等を確認し、その補強効果を検証しました。
(2)既存建物と補強架構の一体性の検証 耐震補強においては、地震時に補強架構が既存建物と一体となって地震の力に抵抗する必要があります。このためには、補強架構を既存の建物にしっかりと接続し、補強架構の力を確実に既存建物に伝達できる構造とすることが重要になります。
今回の実験では、既存建物のみに変位を与えた時に、補強架構がどのように動くかを測定し、その一体性を検証することで補強の有効性を検証しました。
図5に実験で測定された既存建物と補強架構の変位の比較を示します。補強架構の変位は既存建物とほぼ同じ動きをしており、増設スラブにより既存建物と補強架構の一体性が確保できていることがわかります。
この時の増設スラブに多少のひび割れは発生していますが、ひび割れの幅は0.1~0.2mm程度の微細なものであり、一体性の確保に影響しないことを確認しました。なお、日本建築学会の規準等によれば幅が0.2mm以下のひび割れは補修の必要がないとされています。 (3)設計の妥当性検証 設計においては、耐震補強効果を建物の地震応答解析により算定しています。地震応答解析とは、建物が地震を受けた時に、どのような変形、力が生じるかを計算によりシミュレーションする手法です。
ここでは、実験で測定された補強架構の変位と力を、設計における地震応答解析の結果と比較することで設計の妥当性を検証しました。
図6に実験で測定された補強架構の変位波形と解析変位波形の比較を、図7に実験で測定された補強架構のせん断力波形と解析せん断力波形の比較を示します。二つの波形は一致しており、設計時に実施する地震応答解析により補強架構の変位挙動とその時の力を精度よく評価していることがわかります。 問合せ先ニュースリリースに関するお問合せ先 飛島建設株式会社 経営管理本部 経営企画部 広報室 松尾 和昌 TEL:044-829-6751技術・資料に関するお問い合わせ先飛島建設株式会社 建設事業本部 トグル事業部 田代 和広 TEL:044-829-6737
飛島建設株式会社 建設事業本部 トグル事業部 長塚 典和 TEL:044-829-6738